過去に制作した日本画作品の一部をご紹介します。

日本美術院 院展 出品作

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2005 『恒河』  150号変形
・雲肌麻紙に土壁、岩絵具、墨、膠

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インド、バラナシのガンガー(ガンジス川)で取材。院展初入選の作品。朝焼けを待つ人々の群像。ガンガーは川幅が非常に広くゆったりと流れており、明け方は対岸も見られないくらいに鬱蒼とした霧がかかり、幻想的な風景が見られる。

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2006 『流紋』 150号変形 
・雲肌和紙に土壁、岩絵具、金泥、膠

06秋の院展 拡大1.jpg06秋の院展 拡大2.jpg

中国、桂林近郊の農村で取材。農作業を終えた農夫が川で汗を拭う。豊富な水量の川の流れの中、まざりあう水紋。土地に住まう人々の生を感じる。

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2007 『転空』 150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉金泥、膠

07秋の院展 拡大1.jpg07秋の院展 拡大2.jpg

エジプト、カイロ南にあるサッカラの近くの村。ヤシの並木をゆっくりと進むロバと老人。用水路に映り込む姿は空を映しだす。

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2008 『台場』 150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、墨、金泥、膠

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日本、東京の台場より品川、新橋方面を望む。初夏の東京湾には屋形船が所狭しと浮かぶ。湾内の緩やかな漣にぼやっと浮かび上がる屋形船。祭りのあとのような感覚。

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2009 『不夜城』  150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

09秋の院展 下図.jpg09秋の院展 拡大.jpg
下図 / 本画部分

東京、台場から新橋品川方面の東京湾岸のビル街。街の灯が空を照らし、幻想的なオレンジの光彩を放つ。湾に現れたもうひとつの街。都会育ちにとっては日常の風景だが、田舎で幼少期を過ごした私には、海外で出会う風景と同じく新鮮なものにみえた。

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2010 『兆し』 S100号
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

10秋の院展 拡大.jpg10秋の院展 拡大2.jpg

中国、桂林近郊の農村。黙々と耕す農夫と農夫。中国内陸部の農村地帯では、未だに水牛を使った農具で水田を耕す光景が見られる。
牛歩といえば一般的に遅いなど悪い例えに使われる。しかし泥の中をグイグイと早く進く進む姿は従来の「牛歩」のイメージとはかけ離れ、生命力に満ちた力強さを感じた。
そんな泥の中を進む姿に自分を重ね合わせて希望的に描いた。

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2011 『夫婦船』  S100号 
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

夫婦舟 秋の院展11 下図 拡大1.jpg夫婦舟 秋の院展11 拡大1.jpg
下図 / 本画

ベトナム、フエの漁村。夕暮れに漁から帰る夫婦舟。竹で編んだ軽いカヌー状の小舟は、水たまりにぷかぷかと浮かぶ笹舟のようだった。
夫が腕っ節の強そうな嫁に舟を漕がせている様子は、亭主関白というよりかかあ天下といった感じにも見える。取材時は年配の夫婦だったが、絵にする際、若い夫婦にして描いた。

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2012 『島人』  150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

2012院展 島人 拡大1.jpg2012院展 島人 拡大2.jpg

沖縄、西表島。田んぼのあぜ道をゆっくりと歩く老人。水が張られ、田植えを待つ水田。そよ風は水面を揺らし、さざなみを打つ。肌を包む空気は暖かく、あたりは生命力に満ちた深緑が生い茂っている。島に根付き、生きる人々の息吹を感じた。

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2013 『環』  150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

環(わ)を描く棚田と農婦。山深い斜面に水田を作り、この土地に根付いて生活する人々の息吹を感じた。(徳島、上勝町)。

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2014 『帰舟』  150号変形 
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

使い古された木製の船体にトタン屋根、エンジン音を出しながらゆったりと進む。自然の色が日本の田舎に似てどこか懐かしさを覚えた。(ラオス、メコン川)。

春の院展 出品作

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2006 『汀』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙に土壁、岩絵具、金泥、墨、膠

インド、バラナシのガンジス河ほとりの汀。船着場。

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2007 『ナイル』 S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

エジプト、ナイル河の帆船。

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2008 『吐魯番』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国、トルファンの冬。タクラマカンの黄砂が吹きすさぶ。極寒の地で日中で外気は-20℃くらいはいくが、視覚的には暖かく感じるという不思議な光景だった。

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2009 『野火』 S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

2009年 第64回 春の院展 「野火」S40 拡大.jpg

日本、福島の昭和村。田畑の野焼きを行う農夫。煙に丁度光がさしこむ。後ろの山が陰になり、人物のシルエットはまるで舞台の一場面のようだった。

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2010 『上海』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国、上海。真珠タワー上より俯瞰する。黄砂かスモッグがかかった高層ビルの街並みは非常に幻想的だった。力不足で雑然とした上海の街並みを表現しきれなかったのが悔いに残る。

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2011 『ハロン湾』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

ベトナム、ハロン湾の渡し船。遊覧用の中型の客船がたくさん停泊するハロン湾。船乗り達は沖に停泊している自分の船へ移動する時に、小さな渡し船で行き来する。湾内を所狭しと客船がひしめき合う。颯爽とかいくぐる渡し船は、軽やかなアクセントに感じた。

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2012 『島渡り』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

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沖縄、西表と由布島を行き来する牛車。
浅瀬をじゃぶじゃぶと力強く渡る水牛。背には、南の島で癒されに来た人々を運ぶ。どこからか三線の音と島唄が聞こえ、海風に吹かれながら旅の疲れを忘れさせる。

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2013『段』 春院縦規格(150cmx75cm) 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

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台湾、九份の階段。
賑やかな通りから外れた道。オレンジ色の街灯に照らされる雨に濡れた階段。そこに住む人々により使い込まれた階段は角が削れ、石段のような風合いを醸し出す。
高地で霧が多く、街一帯がフォグランプのような光に包まれていた。

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2014 『湖韻』  S40号 春の院展
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠


滋賀・琵琶湖畔の夕暮れ。湖沿いの道を走ると所々にぽっかり浮かぶ樹の島がある。島には天敵が来ないのか、たくさんの野鳥の生息地となっている。具体的な鳥の姿を描かずに鳥の気配を描きたかった。

風景

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2008 『映』  12号
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

エジプト、ナイル川で取材。高台から俯瞰し、川上を望む。

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2008 『寒林』 12号
・雲肌麻紙、岩絵具、膠

北海道で取材。釧路から知床半島に向かう途中の雑木林。信じられないくらいピンク色をした印象的な空だったが、そのまま絵にすると難しいので落ち着いた色調で表現した。

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2009 『夕凪』 10号
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、墨、金泥、膠

エジプト、アレクサンドリアの古城近くの浜辺で取材。

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2009 『夕河』  10号
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

エジプト、ナイル川で取材。使い古された船も光の加減で綺麗に見える。

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2008 『日隠れ』 10号
・雲肌麻紙、岩絵具、膠

エジプト、アレクサンドリアの古城の庭で取材。

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2010 『帰舟』  F30号
・雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金泥、膠

ラオス、ルアンパバーンのメコン川で取材。

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2009 『流紋』 F30号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国、桂林ほとりの農村の農夫。院展で制作したものは土壁地だったが、こちらは平面的に描いたもの。有芽の会出品作。

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2009 『汲紋』  F30号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国、桂林ほとりの農村の農婦。聿の会出品作。流紋とは対になる連作のつもりで制作した。

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2010 『曙』 F6号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

インド、ガンジス川、明け方。日の出を待つ人々。

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2010 『漣』  F8号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

エジプト、ナイル川。トップページのビルボード背景の作品。

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2011 『黄砂』 F30号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国・新疆ウイグル自治区の真冬のトルファン。

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2012 『ウルムチ』  F10号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

中国・新疆ウイグル自治区の真冬の烏魯木斉(うるむち)。

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2012 『宮島』 F10号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

日本・広島、宮島の鹿。
奈良の鹿とは違って鹿せんべいなどで餌付けされておらず、痩せている個体が多い宮島の鹿。かわりに島の中をどこでも行き来できる自由がある。
厳島神社の干潮の汀を見ていると、刻一刻と表情を変える。取材時には陸の上にいた鹿だが、この汀を佇んでいたらさぞ荘厳な雰囲気だろうな、と思い制作した。

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2012 『夜空』  F6号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

心象風景。
子供の頃、家族でハレー彗星を見に行ったりした。山の上から見る空はとても眩しかった覚えがある。その頃の思い出に銀河のイメージを加えて描いた作品。

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2012 『島人』 F20号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

日本・沖縄、西表島の島人(しまんちゅ)。
まだ3月だったが島は暖かく、緑が生い茂っていた。水田も水が張られ、稲作の準備が整っている。水田のあぜ道を行く老人の足取りは、緑の空気に溶けていくようだ。

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2012 『海樹』  F10号
・雲肌麻紙、岩絵具、金泥、膠

日本・沖縄、西表島のマングローブ群とさざなみ。
植物は塩に晒されると弱いはずなのに、塩辛い海水の中を悠々と立つマングローブは何食わぬ顔で生い茂る。
沖をみるとたくさん生えているマングローブたち。普段は見慣れない木々を見ていると、ああ、南国に来たんだなと感じる。

花・草虫図

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2008 『朝露』 F10号 
・雲肌麻紙、岩絵具、墨、金泥、膠

名古屋でスケッチした花を描いた作品。明け方の植物は生命力に充ち溢れ、夕方に比べてスケッチに向いている。

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2009 『春麗』 F10号
・雲肌麻紙、岩絵具、墨、金泥、膠

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2008 『春朧』 F10号 
・雲肌麻紙、岩絵具、墨、金泥、膠

修士の頃、明代の草虫図の模写研究を行った際にヒントを得て制作した。画題としての蝶と花はよくあるものだが、実際に同じようなシチュエーションを探そうとしたら、田舎か温かい季節でないと見られない。

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2009 『咲くら』 F6号
・雲肌麻紙、岩絵具、墨、金泥、膠

春先の上野公園は花見客でごった返している。あまりの人ごみに目眩を覚えるが、上を見れば別世界。ソメイヨシノに癒される。